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スタッフインタビュー

ベンチャー支援の真っただ中で、経験を最大限に役立てたい

リバネスキャピタル 取締役 花井陳雄
リバネスキャピタル 取締役 森安康雄

2022.11.09

協和キリンとベネッセホールディングス。それぞれの業界を代表する企業で先端を走ってきた花井陳雄と森安康雄は、なぜリバネスグループに参加し、リバネスキャピタルでベンチャー支援に携わる道を選んだのでしょうか。そのキーワードは「驚き」と「楽しさ」でした。


経験とノウハウでベンチャーの成長を支援する

ー お二人は2020年3月に、リバネスキャピタルの取締役に就任されました。そこに至る経緯を教えてください。

森安 私はもともとベネッセホールディングスで、デジタル教育事業開発などに携わっていました。リバネスのグループCEOである丸幸弘さんとは、15年ほど前に東工大のイベントで隣同士に座ったことがきっかけで意気投合し、一緒に教育プロジェクトをやらせてもらうようになったんです。その後、自分が年齢を重ねるにつれ、教育の幅はもっと広くていいと思うようになり、丸さんにリバネスで働かせてほしいとアプローチしました。当時から本当に面白い会社でしたから。

ただ、リバネスは大学院を出た人しか入れない。研究者としてのトレーニングを受けているからこそ、誰もが自分なりの「クエスチョン」を持っている会社なわけです。個人的にも教育の会社で「人生100年時代」を謳っていた矜持がありましたし、「仲間になるためにはこのハードルを超えなければ」ということで、グループ会社のグローカリンクに籍を置きながら修士号を取り、2019年に入社しました。そんなわけで、自分のこれまでのビジネス的なバックグラウンドと、リバネスで若い人たちと働いた経験。リバネスキャピタルではこの両方を生かせると思っています。

花井 私は協和発酵工業という会社で研究者として抗体医薬品の開発に携わった後、協和発酵キリン(現・協和キリン)で、開発本部長、常務、専務、社長、会長などを務めました。リバネスグループとの縁は、やはり丸さんをはじめとした創業メンバーとの長いお付き合いに始まります。自分が経営者として歩む間、彼らとは年に2回ほど会ってお酒を飲むような間柄で。その席で「一緒に面白いことをやりましょう」と誘っていただき、会長を退任した後、リバネスキャピタルに参加しました。

私には、アメリカで抗体医薬ビジネスを行うベンチャーであるBioWa社を起業、経営した経験もあります。ですから、次の世代の日本のベンチャーを支援したいという気持ちが強い。それは仕事というより、私にとってまさに「面白いこと」なんです。リバネスキャピタルは、若い仲間と一緒にそれを実現できる器のようなものだと思っています。

―今、リバネスキャピタルでされているお仕事はどんな内容ですか。

森安 一言でいえば、出資先ベンチャーの伴走です。自分の専門分野である教育とデジタルを中心に、ものづくりに関する出資先などとも定期的にディスカッションをしつつ、一緒に考えながら事業を前へ進めています。例えば教育サービスを提供する出資先は、日本に限らずアジアにもある。そういう起業家の方々には「自分たちの国をこれからどうしていくか」という熱い思いがあります。そんなふうに熱をもって新しいことに挑む経営者の方々と、いかに面白い世界をつくれるかを考えています。

花井 私のほうは、出資先の中からヘルスケア分野を中心としたベンチャーについて、研究開発、ビジネス化、経営など、自分がアドバイスできる範囲で相談に乗らせていただいています。自分のネットワークの中から、適切な人や会社を紹介することもあります。 ここで仕事をしてみてわかったのは、日本のベンチャーの大変さです。欧米では大企業とベンチャーの間で役割分担ができていて、スタートアップに潤沢な資金が流れ込むようになっている。ところが、日本ではベンチャーの支え手が少なく、資金ショートで先へ進めない企業も多い。どうしたらその段階を乗り越えて、事業を継続できるのか。投資はもちろん大切ですが、自分は特にノウハウの面で支援をしたいと考えています。

大企業での成功と失敗で得た知見を「ブリッジ」する

―長く上場企業で先端を走ってこられたお二人が、リバネスキャピタルで担うべき役割は何だと思われますか。 

森安 私は好奇心の幅が広いタイプの人間で、これまでさまざまな分野で企業文化の異なる方々と働かせていただきました。その中で多くの成功と失敗を経験しましたが、特に失敗の経験には事欠かない(笑)。そして、実はその失敗の中に普遍化できるものがあると思っています。

例えばビジネスを立ち上げるとき、それが全く新しいアイデアから始まることは少ないですよね。多くの会社では、過去に挑戦してうまくいかず、倉庫に眠らせていたような案があるとき再浮上してくる。大抵の場合、上層部は「それは前にダメだった」と却下しがちですが、人と時期が変わることで成功する例はいくらでもあります。ですから、そういう思い込みのハードルを支援先と一緒に乗り越えていくことが、自分の一つの役割だと思っています。

花井 私のほうは40年も製薬業界にいましたので、製薬を中心としたヘルスケア分野のことは、レギュレーションなどを含めて大体理解しています。もともとは研究者でしたが、経営者として営業も学び、米国展開の経験もありますから、研究成果をいかに開発から先の流れに乗せていくかということについては、それなりに助言ができる自負があります。また、そういう形でお役に立てるというのは、本当に嬉しいことなんです。

ベンチャーにとって重要なのは、自分たちの技術やアイデアをいかにビジネスとして成立させるかですよね。例えば、多くの製薬会社から引く手あまたの技術がある。それを製品化すれば社会貢献もできる。でも、そこからもう一段成長するための利益を出せなければ会社は回りません。では、社会や業界の仕組みの中でいかにして利益を確保するのか。その部分で自分のノウハウを生かして、実際に物事を前に進めるためのアドバイスをすることが大事な役割だと思っています。

森安 「いかに持続可能にするか」の視点は本当に大切ですね。その点、規模も歴史も相応にある企業を経験してきたわれわれは、ビジネスの種を大きな事業に育てるトレーニングを徹底的に受けています。特に花井さんのご専門であるヘルスケア分野は開発期間が長く、制約も多い上、グローバルな市場で戦わないとならない。そこに飛び込む人に、花井さんのご経験と視座の高さは大きな力になるはずです。それはまさに知識と経験の「ブリッジ」であり、事業を成長させる推進力になると思います。

ここでしか出会えない人たちと共に、常に楽しい驚きを

―最後に、お二人にとってリバネスキャピタルで働くことのやりがいや面白さはどこにあるでしょうか。

花井 この会社には、普通の会社とは明らかに異なる面白さがある。それは間違いありません。

森安 私はリバネスに入ったとき、丸さんに「私のレポートラインはどうなっていますか」と聞いたんです。その答えは「ここにそういうものはありません。自分で決めて自分で実行してください」というものでした。運用の形が他の会社と全く違う。

これはリバネスキャピタルも同じです。特に驚くのは意志決定が速いこと。極端な言い方をすれば、ほとんど議論なしに出資先が決まっていく。その代わりに、出資した先でどんなプロジェクトができるのか、という議論に時間を多く使っていますね。

花井 確かにそうですね。そして意思決定の場に至る前の段階でも、リバネスの人間がものすごい時間をかけてベンチャーとコミュニケーションをとっている。

森安 おっしゃる通りです。一人一人が「サイエンスブリッジコミュニケーター」として、ベンチャーを発掘するところから関わっているケースがほとんどなので、「どんな会社なのか」「どんな技術なのか」「どんなビジョンを持っているのか」という情報が自然とグループ内で流通しています。だからこそ、意思決定のフェーズでは物事が早く進みますし、それはベンチャー支援に求められるスピード感として最適なものになっています。

花井 普通の会社には、過去の仕事の積み重ねによって構築された成功の方程式みたいなものができ上がっていますよね。でも、リバネスにもリバネスキャピタルにも、常にそれをつくり変えようとする姿勢がある。だから、ベンチャー支援もただの繰り返しになりません。時には「えっ、本当にこれをやるの?」という驚きもあります。そして、それは楽しい驚きなんです。

森安 リバネスキャピタルが目指すのは、支援先が上場した、それによって大きな利益が出た、という達成ではありません。あくまでリバネスグループが掲げる『科学技術の発展と地球貢献を実現する』という理念に基づいて、自分たちの技術力で何ができるかを一生懸命考えている人たちを本気で応援して一緒に実現しようとしている。ここには、われわれのように、そういう動きの真っただ中にいることが楽しくてたまらないという人たちが集まっている。

花井 まさにそうですね。私のような経験をもつ人間は、さまざまな業界にいるはずなんです。でも、なかなかこちらの世界に入ってこない。本当にもったいないと思いますね。リバネスキャピタルでは、支援先のベンチャーも含めて、ここにいなければ出会えなかったような人たちと出会えます。それは、今いわれたとおり、多くの会社とは目指す地点が違うから。

森安 人はその会社の理念や目標に魅了されて集まりますからね。われわれの掲げる理念のもとに集まった人たちが、そのまま他にはない貴重なヒューマンキャピタルになっている。

花井 われわれが出資している企業は、志高く、面白い会社ばかりですからね。リバネスキャピタルの周りに、理念を共有できる生態系のようなものが広がりつつある。それをさらに大きくしていくことに、われわれのやりがいと喜びもあるんだと思います。

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